電子マネーの恐怖

現在、世界は電子マネーに支配されている。
ここでの電子マネーとは、決済方法としてのクレジットカードではなく、プリペイドや仮想マネーなどである。プリペイドには「Edy」「ICOCA」があり、仮想マネーには「paypal」、地域通貨、マイレージや各社が勝手に発行しているポイントなどがある。また、バーチャルな世界での仮想マネー、代表的なものは「セカンドライフ」のリンデンドルだ。

これらの仮想マネーはほとんど法律の制限を受けることなく勝手に発行して勝手に価値を決めている訳だが、規模が大きくなると 非常に大きな危険性をはらんでいる。

みずほコーポレート銀行の産業調査部の調査によると「セカンドライフ」を中心とした仮想社会での年間総取引額は2008年末に1.25兆円に達する可能性があるらしい。
もちろん、私にはこの推量が正しいのか間違っているのか分からないが、簡単に推測できることは一般の人間が仮想社会内での滞在時間に比例して仮想社会の経済規模は拡大することだ。

この仮想社会での経済活動には従来の電子決済も含まれるが独自通貨は利便性が高いために、次第に利用範囲が広がるだろう。
黎明期では従来の電子決済が利用されるが、バーチャル社会での滞在時間が増えるのと同時に、サービスが充実し、それに伴ってバーチャル世界での資金の留保の必要性が増す。結果的に仮想マネーの付加価値が高まり、最終的には通常の通貨と変わらない特性を持つ。
実際には国家が発行する通貨ではないが、有価証券などと同様の資産価値や流通、換金性を持つのではないだろうか。

面倒な問題としては株などと違い、仮想マネー自体が価値を持つ点だ。企業が倒産すればその企業の株は紙くずになるが、独立性(単なる幻想だが)の高い仮想マネーは企業の業績とは分離してとらえなければ大変な混乱が起こるだろう。
信じられないような利回りを確約した詐欺貯蓄やネットワークビジネス(ねずみ講的ビジネス)のニュースは今でも良く見られる。このような詐欺のために架空の電子マネーが利用されたとは聞かないが、今後この手の犯罪は確実に発生するはずだ。

RMT(Real Money Trade)-ネットワークゲームでの仮想マネーを実マネーに換金すること-をサービスとしたサイトは数多く存在するが、RMTに関する法律は何ら存在しない。・・このあたりにはビジネスチャンスが転がっているかもしれない・・・。
今までのバーチャル世界にはゲームなどの特定の目的が存在していたために電子マネーの留保もその目的のためと制限されていた。しかし「セカンドライフ」は目的を持たない「世界」だ。
この現実の世界と同様の特性を持つ社会の出現により、電子マネーの質と流れも今後大きく変化し、それと同時に危険性も増すだろう。

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