SketchBookPro、ArtRage、SAIの描画比較
近々、アート系の単発講座の予定が発生したので、久々にペイント系のデジタルツール(ソフト)の再検証を行っています。
絵を描くのもベクトルイラストとなると話は簡単なのですが、ペイント系のソフトに関しては色々と考えなければなりません。
例えば、A4のイラストを描く場合、アナログであれば、イラストボードや色材を選択し、描画することになります。
これがデジタルペイント(ラスターイラスト)になると、印刷物の標準である175線を確保するための解像度350dpiからピクセル値を割り出し、それをもとにキャンバスサイズを設定しなければなりません。(Photoshopなど最近のソフトなら一発だ、、)
このあたりを怠ると、作成しても印刷できない(粗いイラスト)、、なんて悲劇的なことが起こってしまいます。
つい最近も嫁さんがデジカメで撮った写真を一枚にレイアウトしたのですが、これが、、解像度不足だったなんてこともありました。
解像度を気にしない方法としては、無知になること、、(DTPを学び始めた生徒などがこのような作品を作っているのを良く見ます)、その他の方法としてはIllustratorなどのベクトルツールを使うのが良いでしょう。
しかしベクトルツールは切り絵が基本で、表現できる幅も非常に狭いのが現実です。
この辺りの話はさて、おいて、
今回は、いつものようにAliasSketchBookPro、ArtRage2.5、最近有料化したSAIの鉛筆とマーカーツール、ペイント(筆)、エアーブラシに関して比べてみます。
※デフォルト値使用
鉛筆
SketchBookProの鉛筆は他を抜きん出ています。
ArtRage2.5はハネの部分は良いのですが、他のツールにも共通して、描画でノイズ(欠落)が起こります。
SAIは鉛筆とは余り呼べない描画と言えます。
マーカー
SketchBookProのマーカーは現実のマーカーを上手くシミュレートしています。
ArtRage2.5も良いのですが、ArtRage2.5の特長でもある色の混色が起こります。
現実のマーカーも少しは混色されますが、ここまで強くありません。(水性マーカーなら納得。。このあたりは設定で変更可能かもしれない。)ArtRageのマーカーは油性と水性の設定が可能です。しかし業務上ではマーカーと言えば一般的に油性マーカーを指します。油性マーカーとしてはSketchBookProに近いの描画力を持っています。水性マーカーは設定と描画を工夫すれば、ArtRageには用意されていない水彩ブラシとして使用可能です。
SAIは残念ながら、マーカーをシミュレートしているとは言えません。
と、言うことで総評ですが、鉛筆とマーカーによるスケッチならSketchBookProに決まりです。これはプロダクトスケッチ、(アイデアスケッチ)をメインと商品コンセプトとも一致しています。
油絵タッチならArtRageです。本家のフォーラムでも水彩ツールの議論がされていますが、マーカーの設定を調整することで水彩に近い描画イメージを得ることは可能です。
筆跡にノイズが含まれるのは非常に残念ですが、補っても余る魅力を持ったソフトであることは確かです。
SAIは比較的バランスの良いツールですが、インターフェイスの設計にまだまだの感があります。ツールによってタッチを出すことには無理があるでしょう。現在SAIはシェアウェアでhttp://www.systemax.jp/ja/より5250 (税込)で販売されています。
ArtRageが$25http://www.artrage.com/artrage.htmlですので、少々割高です。シェアウェア化が少し早かったのでは、、と思います。SAIの対抗馬としてはopenCanvasが考えられます。
気になったは、SAIやopenCanvasといった日本生まれのペイント系ソフトはアナログツールのシミュレートが良くないということです。 水彩、油絵、マーカーなどを使いこなし、その違いを理解した者が開発に携っていないように感じました。 名前だけのツールはかえって混乱します。実際にそのようなアナログツールを使ったことの無い若い世代の制作者がどのようなイメージでツールを使い分けているのかを考えると心配になりますね。
今回、PainterやPhotoshopは除外しました。またシェアウェアとプロダクトを同時に評価し、最後には価格についても言及しましたが、純粋にツールとして比べた場合、そのようなポイントで評価が変わることはありません。