summer twins: 夏の双子
立っているだけで汗が噴き出す夏の炎天下。
気温は35度を優に越えている! だろう。
前から双子のベビーカーを押したお母さんが歩いてきた。
この炎天下、ベビーカーの日よけを下すことなく、まるで地獄の炎に焼かれるような太陽の日差しを浴びながら双子はすやすやと眠っていた。
何処へ向かうのだろう。
このまま何十分も日差しの下を歩き続けるのだろうか。
太陽から出ているガンマ線や紫外線が赤ちゃんの皮膚に及ぼす影響はどれほどあるのだろうか。
発汗作用の弱い赤ちゃんの温度調整は大丈夫だろうか。
お母さんは家に着くまで後ろからベビーカーを押しているが、玄関の前で黒焦げの我が子を見るのだろうか。
ほんの数秒間に様々な思いが頭の中を駆け巡った。
そして、すれ違った。
自転車を止めて『お母さん、日除け下さんと、赤ちゃんまる焦げになるよ。』と声をかけよう思ったが、止めた。
無限にある宇宙の6割程度のパラレルワールドでは声をかけていたのかも知れない。
この宇宙では、辞めておこう。
太陽の光で直視できない程、白く光り輝いていた彼らこそsummer twinsだ。