『トレパク』って何?

たまに『トレパク』という言葉がTwitter上で踊っているのをめにする。
『トレパク』とはトレース&パクリのことで、写してパクる技法だ。
まぁ。トレース自体が写し取りなので、パクを付けなくても良いとは思うが。

『トレパク』以前からパクリ問題はあった。
40年程前であればリスペクト的に扱われていたが、メディアが拡大し版権ビジネスが広がり始めた頃から他人の絵を利用して利益を得る行為が問題となり始めた。

イラストレーターの私などは、以前は図書館へ通ってあらゆる方法で構図やアングル、ポーズなど資料を収集したものだ。ビデオデッキの使用が一般的になると、映画などから使えそうなシーンをビデオプリンターで出力し、その写真をベースに構図やライティングを考えた。
その頃は“これは画期的な手法だ!”と思ったものだ。

しばらくしてコンピュータの使用が一般的になるとCDによるフリーイラストやストックフォトが利用できるようになり、随分と助かったものだ。
しかし、インターネットが普及し始め、画像検索が一般的になると図書館通いや資料購入は激減したが、便利になると次第に権利問題が頭を出し始めた。

私自身、イラストに関しては古くからオリジナルを心がけていたので、他人のイラストをそのままベースにすることは無かったが、イラストの世界の発注方法としては『××風に描いたください。』などは非常に一般的だった。

これもいまではタブなのかも知れない。
今では、私のイラスト業務は3Dが増え、2Dによる手書きは少なくなったので『××風に描いたください。』などの発注は聞かないが、セルシェーディングなどに拘ると3Dの世界でも『トレパク』と言われる日が来るのかも知れない。

トレースして、似ることが悪いのか。
トレースしなければ似ていても良いのか。
十分に訓練されたイラストレーターなら、記憶だけで似せて描けるものだ。
『深海誠風青空』や『宮崎駿風高所感』は真似かリスペクトか。

直ぐ『トレパク』判断AIなるものも出現し、得意げに発表する者も現れるだろう。
もちろん自分の作品を利用されて他人が利益を上げれば悔しい思いもし、腹も立つだろう。
しかしその反面、同じ作品を自分自身には売る能力が無かったとの無力さにも目を向けなければならない。
『トレパク』されて被害を被ったと思った人間が相手告訴すればよいことで、関係の無い半人前のイラストレーターや全く利害関係のない素人の発言には辟易してしまう。

絵を描くということは果てしの無い修行だと思っている。

そこで以前描いた『トレパク』ではない『リスペクト』。