様々な学習方法

思えば長く“先生”と呼ばれる仕事をしてきた。
“教える側”としての自覚に欠ける講師ではあるが、16年以上も続けていると“教育”という物に少なからずの拘りが生まれる。

現在の多くの教育では個人の“個性”や“理解度”に合わせた教育が謳われている。
義務教育だけでなく、塾や習い事もそうだ。
理解の遅い子には再度補習を行ったり、進捗を遅らせたりといった手法が一般的が、しかし、この個別進捗は正しいのだろうか?
もちろん理解が追いつかなければ復習するしかないし、その復習も何度も行うことは正解だろう。

私が疑問に思っているのは、個人に合わせた教育と言っても、所詮は“進捗調整”にしか過ぎないのではないかと言う事だ。

 

学習には、大きく分けて2種類あると思っている。
一つが“リニア方式”だ。
これは現在の教育の主流で、基礎から一段一段階段を上るように学習する。 別の言い方をすれば“ボトムアップ式”と言ってよいかもしれない。
利点としては、学習進捗によって理解度が管理しやすく、試験などの実施により比較が容易で多くの人間をランク付けするには適している。
欠点としては、学習が単調なために学習に対するモチベーション維持に努める必要がある。

 

もう一つは“ノンリニア方式”である。
これは実際の社会や職場、弟子入りなどに見られるように、到達点を明確にイメージしその目標に必要なスキルを必要なものから手に入れていく方法だ。 別の言い方をすれば“アセンブリ方式”又は“トップダウン式”と言ってよいかもしれない。
利点としては、即戦力の必要な現場教育に向いている。また、学習が変化に富んでいるので飽きにくい。
欠点としては、教育者に高いスキルが求められ、的確な学習指導を行わないと学習者は混乱する。また、特定の時点で絶対的な履修度チェックには向いていない。相対評価向きであり、現在の学校教育の現場には向いていないだろう。

 

もちろん、学習方法を大別すればの話しで、実際には“ノンリニア”の後に“リニア”を取り入れるような複合型など様々な様式が考えられる。

 

多くの作業現場、手法において“リニア方式”は古典的で原始的な場合が多い。一方 、“ノンリニア方式”は自由度と効率化を高めることが可能だか、複雑な処理のパッケージング化が伴う。通常は高度なツール(機械やソフトウェア)によって可能となる。このことから考えると、教育現場にもこのようなツールが必要不可欠だろう。もちろんそれはソフトウェアであると言えるだろう。

 

大切なことは教育現場で行われている単純な進捗調整の教育だけで無く、各学習者の個性(性格)にあわせた教育方法の開発が必要ではないだろうか。
まぁ、しかしこんな手間の掛かる教育方法は今の社会では無理なことかな。。

 

※“ボトムアップ式”、“トップダウン式”はソフトウェアの開発手法とは関係ありません。“アセンブリ方式”、“ノンリニア方式”はどちらも編集用語に実際にあり、意味合いも近いものです。コンピュータ用語とは関係ありません。

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