Maya Basic Rigging: Maya簡単リギング基礎1 ペアレントと接続エディタ
『トランスフォーマー 最後の騎士王』公開記念!
How to get the Optimas Prime’s Rig! って言うのは嘘!
前書き
とにかくMayaのインターフェイスはごちゃごちゃしています。
初心者はこの画面を見ただけで無力感に襲われて、その後の学習意欲をそがれるのです。
慣れたプロフェッショナルユーザーにとっては“難しいソフト扱ってます”感が出せて都合は良いのですが、
基本とは言っても操作方法を教える側となれば、そうは言っていられません。
難しそうなソフトをできるだけ簡単に。
ソフトなんて所詮表現のためのツールですから。
今回は『Maya Basic Rigging: Maya簡単リギング基礎1 ペアレントと接続エディタ』と銘打って、簡単なリグ設定を紹介します。
対象はMayaで球体や立方体は作れるが、それだけでリグを設定し可動。
私自身も直ぐに忘れるリグ設定です。
先ずは用語解説
リグとは何か、リギングとは何か
3Dソフトを使ってアニメーションを作る場合、オブジェクト(モデリングした物)を動かす必要があります。
単なる丸い物体が飛んでいるだけであれば位置を変えてキーフレームを打てばよいのですが、人間が歩いているアニメーションを作るとなると、腕やら足やら、、色々と自由に動かす必要があります。
それら可動部を設定する方法には様々な方法があります。
要するに動けばよいのですが、思ったように動かすことができて又動かしやすい(インターフェイス)構造をオブジェクトに装備する必要があります。
リグの意味は本来『対象に何かを装着』すると言った動詞ですが、リギングは人によって広い意味で使用され、スケルトン設定からコントローラー設定全般の作業を指す場合も多くあります。
しかし3D制作ににおいて正確には以下となります。
- リグ:ジョイントを効率よく動かすためのインターフェイスです。
- リギング:リグを作成しジョイントやデフォームの入力と接続設定する作業
リグの作成方法
リグ作成方法は大きく分けて以下の種類があると思います。
- ユーザーが独自にスケルトンを設計し、リグを作成設定する完全オリジナル。
- ユーザーが独自にスケルトンを設計し、配布されているリグスクリプトなどでリギングを行う
- MayaのHumanIK等スケルトンを使用して用意されているリグ設定機能を使う。
- Mayaの「クイックリグ」などスケルトンからリギングまでを半自動で設定可能な便利機能を使う。
ここでは上記スケルトン設定からコントローラー設定を簡単に紹介します。
より高度な扱いや設定の参考になれば幸いです。
リギングの種類
可動設定は結論を言えば単に上手く簡単に動けばそれで良いですので、どのような手法を選ぶかはアニメータ(リガー)の自由です。
そのため、リグ設定を行う場合はアニメーターの扱いやすい設定を行うことが基本となります。
以下に私が考えるリギングの4種類簡単分類を記します。
こちらのページで紹介するのは2と3に関する設定です。
4に関してはスキニングが必要となりますので、また別の機会に説明したいと思います。
- 変形によるアニメーションとリグ設定
ゴムまりがバウンドしながら飛び跳ねる。(関節の無い変形) - ペアレント、グループ設定等によるリグ設定
シンプルな機械等が動作する。(パーツの変形は必要ない) - ジョイント(FK/IK)によるリグ設定
人間や動物の形状をした無機物のロボット(パーツの変形は必要ない) - ジョイント(FK/IK)によるリグ設定、スキニングも必要
人間や動物の形状をした有機物が動作する。(筋肉等の変形が必要)
ペアレント、グループ設定によるリグ設定
このリグはロボットや機械などパーツの変形を伴わない可動部の設定に向いているでしょう。
設定は比較的簡単ですが、人型のロボット一体を設定するのは大変でしょう。
IKの設定は無理なので複雑なアニメーション設定の効率は良いとは言えません。
以下がサンプルの完成スナップショットと動画です。
肩に大きな円状のリグが付いています。肘と手首の部分にも大きさの違うリグを装備しています。
可動設定したオブジェクトを直接選択して動かしても良いのですが、選択することが難しい場合も多く発生します。
その場合、近くにレンダリングされないオブジェクトを作成しそのオブジェクトに動作オブジェクトを関連付けて操作します。
この操作対象がリグと呼ばれるものですが、通常はレンダリングされないカーブ等を利用して作成します。
この説明ではNURBS 円を使用しています。
設定の要約
このリグ付けの考え方は『可動部に対して付随する物をペアレント設定する』が基本となります。
※ジョイントと言う言葉が出てきますが、Mayaのジョイントではありません。
手順
- 初期化
基本の場所に配置した後にアウトライナを使用してすべてを選択しグループ解除(メニュー>編集>グループ化解除)⇒トランスフォームのフリーズ(メニュー>修正>トランスフォームのフリーズ)⇒ヒストリ削除(メニュー>編集>種類ごとに削除>ヒストリ)を行います。 - ルートを何処にするか
ルート(そのオブジェクトの動作の起点、移動の原点)は肩を想定します。 - 設定の順番
設定はルートから最も遠い場所から行います。
この場合は手の平と手首のグループです。
このモデルには指はありませんので、手首のみで手の平の動きが支配されます。 - 球体を設定
ここで球体を設定しているのはニュートラルなジョイントのイメージが形状的に近いだけであって動作に影響するものではありません。 - 手の平の設定(ペアレント)
手の平(hand1)を選択し、次にShiftキーを押して手首の球体(joint2)を選択し、Pキーを押します。(ペアレント設定)
これで球体が手の平の親に設定されました。球体を動かすと手の平も動きます。
親に設定するものは最後に選択することが基本となります。 - コントロールリグの設置
コントロールリグ(hand_Ctrl)をNURBS 円で作成し、手首の球体(joint2)横に配置します。
※ここではコントロールリグと読んでいますが単なるNURBS 円です。 - 接続エディタで接続(リグと各ジョイントを関連付けています。)
接続エディタを開きます。(メニュー>ウィンドウ>一般エディタ>接続エディタ)
コントロールリグ(hand_Ctrl)を選択し、入力(右側窓)で左側のリロードをクリックしhand_Ctrlのプロパティを読み込みます。
手首の球体(joint2)を選択し、出力(左側窓)で左側のリロードをクリックしjoint2のプロパティを読み込みます。
プロパティの表示が多く煩雑な場合はメニュー⇒左側のメニュー⇒『キー設定不可の表示』のチェックを外します。
接続エディタの設定目的はリグの設定(操作)をジョイントに伝えるためです。
ここでは出力側のrotateXをクリックして入力側のrotateXをクリックすることによって紐付けます。
rotateY,rotateZも同様に設定してください。 - アウトライナとハイパーグラフの構造
手の平(hand1)が手首の球体(joint2)にペアレントされ、動きを設定した時にコントロールリグ(hand_Ctrl)が離れてしまわないようにコントロールリグ(hand_Ctrl)もグループ化されています。 - 動作確認
手の平の設定が済めば、一度コントロールリグ(hand_Ctrl)を選択し回転ツールで回転してみて下さい。
上手く動けば設定完了です。 - 5~9の設定を各部に対して行います。
例えば手首のジョイントは前腕(lower)にペアレント設定し、前腕のジョイント(joint1)は上腕(upper)にペアレント設定します。
注意: ここに書かれている文章を理解せずに真似しようとすると設定が難かいで面倒です。
手首の設定だけを完全行って、理解した後に自分なりの手順で各部を設定してください。
ペアレントとグループ化の違い
アウトライナ上では良く似た表示ですが、ペアレントは親に設定されたものが上位階層に位置し、その動きは子に影響します。
グループ化はグループノードが生成され、その下位に他のオブジェクトが並列で支配されます。
言い方を変えれば、グループとはクループノードに紐付けられたペアレント設定と言えるでしょう。
私自身はMayaの専門家ではありませんが、3Dソフトに関しては細く、長く、様々なソフトを使用しています。
その経験からMayaのUX、UIはお世辞にも良いとは言えません。
WEB上の情報も充実し、Autodeskのヘルプには全てが公開されていると言っても過言ではありませんが、
効率良く学習するためには解説本の助けを借りる必要もあるでしょう。
個人的には一つでも理解できなかった部分を理解できるようになれば、その本の購入は無駄でなかったと考えます。
以下は私も購入し、参考にしている本です。
リギングとアニメーション以外の基本的なことは概ね網羅されています。
先ず購入するのであれば、この本かも知れません。
※Maya 2016以上対象の本の購入をしてください。Maya 2016以降のバージョンはUIを含めそれ以前のバージョンに比べて様々な変更が加えられていますので、初心者の方はちょっとした違いで解決策を見失う恐れがあります。
会話調の文章は初心者の理解の妨げとなる部分も多いと思いますが、
スキニング、リギングに関しては詳しく説明されています。
追記:やっと改定版が出ました!