デザインの分類:classification of design–VPD理論:Visual Pleasure Design の3快楽モデル
デザインを分類するとは一体どういったことでしょうか。例えば、服飾デザイン、建築デザイン、情報デザイン、グラフィックデザインなどがそれでしょうか。
ここでは、デザインを3つの要素に分類し、尚且つその分類がビジュアルに対する個人の趣向性に強く働きかけるといった「Visual Pleasure Design の3快楽モデル」を説明します。
このモデル化によって、今後AIのためのビジュアル生成指示やクリエイティブワークフローの明確な組み立てが可能となるでしょう。
0. 前提
人間が目にするビジュアル(UI、ポスター、プロダクト、文章組版、映像フレームなど)は、意識せずとも「快楽=報酬」のどれか(または複数)で評価される。
デザインとは、その報酬の配分設計である。
本理論は、ビジュアルが与える報酬を3種に分解し、制作・評価・合意形成に使う。
1. 3つの快楽(VPDの三軸)
1. 装飾快楽(Decorative Pleasure / D)
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定義:見た瞬間の「質感・美味しさ・好ましさ」の報酬
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主効果:魅力、心地よさ、上質感、世界観の情緒
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主要手段:色、質感、ライティング、タイポの品、余白の気配、ディテール、素材表現、統一トーン
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副作用:情報が埋もれる/判断が遅くなる/主張が弱くなることがある
2. 構造快楽(Structural Pleasure / S)
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定義:理解できたときの「スッキリ・腑に落ちる」報酬
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主効果:可読性、迷わなさ、秩序、信頼、学習コスト低下
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主要手段:情報階層、グリッド、整列、余白設計、コントラストの規律、命名、導線、反復ルール
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副作用:没個性化/刺激不足/広告力の低下が起きやすい
3. 広告快楽(Advertising Pleasure / A)
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定義:注意を奪う「ドキッ・刺さる・覚える」報酬
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主効果:視線獲得、記憶、差別化、行動喚起
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主要手段:大きな差、意外性、強い主役、破格の対比、短いフック、強いシルエット、反復記号
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副作用:うるささ/誤解/可読性低下/品の低下が起きやすい
2. 反目(Trade-off)原理
原理:最大化は同時にできない
D/S/Aは同時に100点を狙うほど互いを邪魔しやすい。
理由は単純で、注意資源(視線・脳の処理時間)が有限だから。
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Aを上げる(刺激を増やす)→ Sが崩れやすい(読めない・疲れる)
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Sを上げる(秩序を強める)→ Aが抜けやすい(刺さらない・埋もれる)
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Dを上げる(質感を盛る)→ S/Aが鈍りやすい(情報が沈む・主張が弱い)
結論:「何を勝たせるか」=報酬配分の意思決定が必須。
3. 合意形成の最小プロトコル(依頼の翻訳)
曖昧な「良いデザイン」を、必ずこの形式に変換する。
3.1 優先順位を決める
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1位:__(D/S/A)
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2位:__(D/S/A)
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3位:__(D/S/A)
3.2 配点(例:100/70/30)を決める
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D:_点
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S:_点
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A:_点
3.3 捨てる条件(許容する欠点)を言語化
例:
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A優先なら「多少読みにくくてもOK、ただし誤解はNG」
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S優先なら「地味でもOK、ただし迷わせるのはNG」
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D優先なら「情報量は絞ってOK、ただし安っぽさはNG」
この3点が決まれば、制作は揉めにくくなる。
4. 評価法(AIにもできるスコアリング)
4.1 人間が使う評価質問(短い)
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D:気持ちいい?上質?世界観の空気がある?
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S:3秒で理解できる?迷わない?整ってる?
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A:一瞬で目を奪う?覚える?他と違う?
4.2 AIが使う評価テンプレ(機械的)
各軸を0〜5で採点し、根拠を短文で出す(「好み」禁止、観測のみ)。
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D観測:色数、素材表現、質感一貫性、タイポ品位、ノイズ/破綻
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S観測:階層(見出し→本文)、整列、余白規則、コントラスト規律、冗長要素
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A観測:主役の強度、対比、短いフック要素、記号性、差別点の明確さ
出力例(AI):
D=4(トーン統一、質感表現あり)
S=2(情報階層が曖昧、整列が揺れる)
A=5(主役強く対比大、記号性あり)
5. 制作手順(PM/ディレクター運用)
ステップ1:配点を固定
最初にD/S/Aを決める(ここで勝負が決まる)
ステップ2:3案を作る(配点違いで)
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案1:A強め
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案2:S強め
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案3:D強め
(つまり“3快楽を別々に最大化した案”を見せ、クライアントの脳内を外に出す)
ステップ3:選ばれた配点で収束
以降の修正は「配点に沿っているか?」だけを見る。
主観争いを避けられる。
6. 理論の一文要約
デザインとは、視覚が得る報酬(装飾・構造・広告)の配当設計である。






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