クローン

ソウル大学で犬のクローニングに成功した。
猫をはじめ、代表的なペットのクローニングはこれで確立したわけである。
犬のクローニングはペットの問題だけに留まらず、いくつかのクローニング技術の問題点を克服するものだ。
これによって霊長類のクローンへも大きく近づくだろう。

人間へのクローン技術が確立すれば、移植医療など数々の分野で画期的な進歩が見られるだろうが、倫理的な問題点も無視できない。
映画「アイランド」では移植用に育てられたクローンの物語が描かれているが、人間一人を移植用に育てるにはかなりのコストが掛かる思われる。しかし、富裕層ならば“もしも”の時に備えることも可能だろう。

倫理とは抽象的な基準であり、宗教などのバックグランドがあれば少しはコントロールしやすい。(しかし、実際にはこれも怪しいもので、宗教はその場、その時代によって都合よく変化している)
ただ、倫理の歯止めが利くかと質問されれば、私は利かないと思っている。
もちろん「アイランド」のような露骨なことは起こらないと思うが、ペットのクローン産業は一般的になるだろうし、人間のクローンも行われるだろう。ES細胞から「視細胞」を作り出せたように、臓器の各パートの製造技術は進歩している。
一部金持ちの長生きだけの手法のクローニングだったら声高に反対を叫べるだろうが、難病の子供のための臓器移植には反対の声を上げることはできない。
人間を臓器移植のためにクローニングして問題ならば、臓器移植のために脳のない人間をクローニングすれば・・・と考える企業も出てくるかもしれない。
どちらにしても、倫理を守るためにはビジネスの誘惑を断ち切るだけの強い社会理念が必要だと思う。
それが現在の社会にあるかと言えば、無いだろう。
交通事故の死者は国内で年間8千人近い。ちなみに中国は10万人と言われている。世界保健機構(WHO)は2004年には全世界で毎年120万人の死者、5000万人の負傷者を出したと報告している。
だからといって、“車を無くそう!”や“最高速度を40km/hに”なんて議論が一般化することはない。


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